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治療のゴールと通院間隔

最近、この業界では「治ったら何がしたいですか?」と患者様に問いかけるのがトレンドのようです。

たとえば、膝の痛い高齢の患者様に、膝を気にせずに孫と遊びたい、などというゴール設定をしてもらって、それに向けて前向きに治療を行う、といったことです。

これって、治療のゴール地点、目標がとてもわかりやすいですね。




先日、母指の腱鞘炎でばね指になっている患者様のTさんが再来院されました。

治療が終わった時、Tさんはこうおっしゃいました。


「先生、やってもらうと調子が良いようだから、通わせてもらおうと思う。どれくらいの間隔で来たらいいですか?」


そこで私は聞きました。


「Tさんは、指をどうしたいの?付け根にできているしこりまで完全に消して、元通りにしたいの?それとも、仕事に差し支えない程度に、痛みを取って維持できればいいの?」


Tさんは、すぐにこうおっしゃいました。


「いやいや、元通りなんてしなくていいです。とりあえず週に3日、パートの仕事に行って痛くなく指が使えればそれでいいです」


Tさんは70代ですが、パートでお仕事をされています。そのお仕事はかなり手を使うお仕事です。腱鞘炎、ばね指の方が整形外科にいくと、必ず「指を使わず、安静にしてください」と言われます。しかし、そんなことできるわけない、とTさんは言うわけです。


「簡単に安静にしなさいなんて言うけど、仕事しなかったらどうするのよ、ねえ?」


そんな事情もありましたから、Tさんの場合、仕事で指を使うのが前提。で、痛みが出ない程度に維持するのが目標。

もちろん、来院間隔が短い方が、より痛みが出ないでしょうし、動きもいいはずです。でも、自費治療での頻回の通院は経済的に負担になります。


そんな諸々の事情を考え合わせて、私は10日に一度を目安にして、あとは調子悪くなりそうだと思った時に、自分の判断で来院してはどうか、と提案しました。

さらに手だけの治療ということで、ハンドマッサージコースを選択すれば、短時間で済むし、金額も抑えられますよ、と。


もちろん、何回かに一度は、肩甲骨周りや肩、頸、胸の筋も操作する必要があると思いますが、基本は腕と手の治療で痛みはかなり抑えられます。

Tさんは、それに賛成してくれました。


高齢の方の場合、「どこまで治すのか」「何ができればいいのか」という設定はとても重要です。

乱暴な言い方をすれば、何が何でも完治する必要があるのか、そんなに通院させてどうするのさ、ということです(命に関わる急性症状は別ですよ!)。

もちろん、それは医者やセラピストが勝手に決めることではありません。


つまり、「治ったら何がしたいですか?」と「どこまで治したいですか?」は、結局同じことを言っているのですね。

そういう大切な相談を、わかりやすくていねいにできる治療家でありたいなあ、と思う今日このごろであります。


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